名護市長選挙: 渡具知武豊(とぐち たけとよ)候補を検証 する② 「普天間飛行場の移設問題」
2018年2月4日は、
名護市長選挙の投開票日だ。
本土メディアは、この選挙を「翁長知事と安倍政権の代理戦争」だとか、
「沖縄県知事選を占う天王山」と表現する。
また、報道番組に出演する政治評論家やご意見番たちが、「名護市長選は大接戦になる」とか言い出してるので、
ならば現職の稲嶺市長の対抗馬である渡具知武豊(とぐち たけとよ)氏がどういう政治家なのか、どんな実績があるのかを調べてみた。
すると、同氏の公式サイトにあるはずの「活動実績・報告 とぐち武豊の取り組み」が、なんと!
「存在しない」
ことが判明。(2018年1月29日現在)
そのことに関しては、検証の第1弾として配信した。
そして開票日の4日前である現在も、なんと、そのまま、なのだ。つまり、何も書かれていない (驚愕 !)
さて、今日は検証の第2弾。
名護市長選挙に立候補した渡具知氏の公式サイトに設けられた「理念・政策」ページにあるはずの、普天間飛行場の移設問題と辺野古新基地建設に関する渡具知氏の立場を確認してみたい。
その前に、まず、米両政府が決めた普天間飛行場の移設先と代替施設についての一般的な認識を再確認しよう。
以上が、おおむね一般的に認識されている日米両政府の計画である。
では、計画を再確認したところで、渡具知氏が公式サイトに掲載した「考え」を分析してみよう。
渡具知氏の公式サイトには、「理念・政策」というページがある。(2018年1月30日現在)
そのページの一番下に、「普天間飛行場代替施設の移設」という項目があり、渡具知氏の考えが掲載されている。
まず最初に検証するべきは、
「普天間飛行場代替施設の移設」というタイトル。
皆さんご承知の通り、普天間飛行場の代替施設は、まだ完成していない。
(なぜなら、絶対に造らせない!と、20年以上も頑張っている沖縄県民が大勢いるからだ!)
一体全体、渡具知氏が言う「普天間飛行場代替施設の移設」とは、どういうものか。
ちょっと頑張って、タイトルの意味を考えてみる。
我々、ひとりひとりの抗議行動によって、
まだ完成に至っていない「普天間飛行場代替施設」を、
何処かに「移設」?
渡具知氏は、政策として「辺野古一帯に置くとされた普天間飛行場の代替移設を、別の場所に移設させたい」のかな?
タイトルを文字通り、そのまま読むと、そういう解釈になる。
なんだ、そうなのか?
普天間飛行場の代替施設計画を進めたい安倍政権と自民党が渡具知氏の選挙活動を全力でサポートしてるもんだから、てっきり、辺野古への移設に賛成(または容認)しているのかと思ったゾ。
ならば、「普天間飛行場代替施設の移設」という、よくわからない表現なんかせずに、はっきりと「名護市辺野古への移設反対!」と言えばいいだけだが!(笑)
さて、そうなると、渡具知氏は「どこに」「普天間飛行場代替施設」を「移設」させたいと考えているのだろうか。
では、渡具知氏の考えを読み進めていこう。
『基地問題に関する基本的な考え方は、日米同盟の重要性は認識しつつも、米軍基地が極端に偏在していることは明らかであり、過重な米軍基地の負担軽減は多くの県民が等しく願うところである。従って、海兵隊の県外・国外への移転を求めます。 辺野古代替移設については、現在、国と県が係争中であり、この行方を注視していく。』
なんと、なんと!
渡具知氏、『海兵隊の県外・国外への移転を求めます。 』と、海兵隊の撤退を求めているではないか!
なーんだぁ、渡具知氏も「MARINES OUT!」な立場 ってことか!
であるならば、両候補者は、日米両政府が名護市辺野古に建設するという普天間飛行場の代替施設計画に反対だ、ということである。
『海兵隊の県外・国外への移転を求めます』ならば、代替施設や埋め立てなど、税金の無駄であると考えてるはずだ。政府の計画に反する立場なら、様々なアメや交付金も要らない、ということだな?
それでは、なぜ安倍政権と自民党は、渡具知氏だけを猛烈に支持するのだろう。
その答えと思えるものが、沖縄タイムスで報じられている。(2018年1月30日)
『…渡具知氏は目玉政策として給食費無料化など子育て支援策を前面に出し、総予算を約10億円と見込む。渡具知氏が期待する財源の一つは、普天間飛行場の辺野古移設を含む米軍再編に協力が前提の再編交付金。名護市は新基地容認派の前市長時代、年間10億円程度の交付を受けていた。
最大争点の新基地建設問題に対して渡具知氏は「県と国の裁判を注視する」と是非を語っていないが、陣営は工事が進んでいることも踏まえ「基地問題はすでに名護市の手を離れている」との見方を示す。』(抜粋)
なるほど。
渡具知氏の理屈からすると、普天間飛行場の移設問題や辺野古に建設される海兵隊の新基地問題は、「すでに名護市の手を離れている」わけだから、「過去のこと」なのだ。
安倍政権を支持する連中が、「どっちが勝っても、基地建設は止められない」という理屈をSNSで拡散しているが、それと見事に合致する。
工事が進んでいるから名護市長の権限ではどうにもならない、あとは日本政府にお任せする、そうすれば交付金が受け取れる、ということか。
そうやって、名護市の将来を日本政府にお任せし、代償として10億円という「再編交付金」を受け取り、それで給食費無料化や子育て支援策をしたいようだが、この候補者、どこまで名護市民を馬鹿にしてるのだろう。
移設問題に関し渡具知氏は、最もらしい言葉を適当に並べ、「理念・政策」ページの一番下に置いた。
渡具知氏にとっては、それだけのことでしかないのだ。
そんな渡具知氏だが、琉球新報、沖縄タイムス、共同通信の3社が合同で実施した世論調査の結果を見ただろうか?
その世論調査で有権者の多くは、最も関心のある争点を「辺野古移設」と答えているゾ。
『…最も関心を持っている争点については「辺野古移設」が53・2%で前回市長選と同様に最も高かった。』(抜粋)
名護市長選 稲嶺、渡具知氏接戦 「基地重視」53% 無党派2割、投票先未定 電話世論調査 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
そう、
53.2%の人が「辺野古移設」を最大の争点
と答えているのだ!
渡具知氏が目玉政策とする「給食費無料化など子育て支援策」だが、それにあたる「教育・子育て支援」を最大の争点と考えた人たちは、わずか11.4%だった。
渡具知陣営、チグハグだな。
別の世論調査を見てみよう。
『…こんどの市長選で投票先を決めるとき、何を最も重視するかを四つの選択肢から一つ選んでもらうと、「普天間飛行場の移設問題」が41%、「地域振興策」39%でほぼ並び、「経歴や実績」8%、「支援する政党や団体」5%が続いた。4年前の調査の同じ質問で最も多かったのは「移設問題」56%、次いで「地域振興策」23%で、今回、地域振興を重視する人が増えている。「移設問題」と答えた人の大半が稲嶺氏を、「地域振興策」と答えた人の大半が渡具知氏を支持すると回答した。』(抜粋)
琉球朝日放送と朝日新聞社による調査の「地域振興策」という数字が、有権者にとって「政府主導による交付金漬け」のものなのか、あるいは、「国の交付金に頼らない独自の観光振興や地域振興」を期待するものなのかは、不透明である。
しかし、この調査でも、移設問題を重視すると答えた人たちが41%で最も多かったことから、名護市の有権者が重要視する争点が普天間飛行場の移設問題であることには変わりない。
それなのに、公式サイトの「理念・政策」ページで、名護市の有権者が最も重視する争点に関し、『辺野古代替移設については、現在、国と県が係争中であり、この行方を注視していく。』とだけ掲載した渡具知氏。
「普天間飛行場代替施設の移設」という、意味が明確でないタイトルを用い、『辺野古代替移設については・・・』という、これまた意味がわからない表現で締めくくる。
あのさ・・・、
『辺野古代替移設』って、なに???
ここまでいい加減だと、
もう言葉や表現の分析は困難だ。
名護市民が頭を悩まし続ける移設問題に関し、ここまでいい加減な表現を用いて他人事のように語る候補者が、過去にいただろうか?
渡具知氏は、名護市長選挙の候補者としてあまりにも無責任であり、移設問題を他人事として捉えている人物である。
こんな人が名護市長になってしまったら、それこそ、名護市の終わりの始まりである。
次回は、渡具知氏の政策にあるらしい、「スタバ・映画館等の誘致」(!?) について検証したい。