6月15日
沖縄の「良心の囚人」、山城博治さんがジュネーブで開かれた国連人権委員会において、沖縄に対する政府の弾圧を訴えた。
それは、日本政府が、国民の議論も、法務委員会も、国連報告書もすっとばし、強行採決によって「共謀罪法案」を可決させた同日のことでもあった。
ありがとうございます、議長。
私は沖縄における米軍基地による人権侵害に対し、平和的な抗議運動を行っている山城博治です。
日米両政府は沖縄の人々の強い反対にもかかわらず、新たな軍事基地を沖縄に建設しようとしています。
市民は沖縄の軍事化に反対して毎日抗議活動を行っています。
日本政府はその市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣しました。
私は抗議活動の最中、微罪で逮捕され、その後、二回遡って逮捕されました。
勾留は5ヶ月間にも及びました。
面談は弁護士以外との接見を一切禁じられ、家族とも会うことを許されませんでした。
私は自供と抗議運動からの離脱を迫られました。
これらは当局による明らかな人権侵害です。
しかし私も、沖縄県民もこのような弾圧に屈しません。
私は、日本政府が人権侵害を止め、新しい軍事基地建設に反対する沖縄の人々の民意を尊重することを求めます。
ありがとうございます 議長。
Thank you Mr. President.
I am Hiroji Yamashiro. I lead the peaceful protest movement against human rights violations by the U.S. military bases in Okinawa, Japan.
The Governments of Japan and the U.S. are building military bases in Okinawa despite the strong opposition from Okinawan people.
Civilians are protesting the militarization everyday. The Government of Japan dispatched large police forces in Okinawa to oppress and violently remove those civilians.
In the protest, I was arrested for a minor offence, followed by two retroactive arrests. I was detained for 5 months. I was not allowed to see anyone except lawyers. Not even my family. I was forced to confess and give up the protest activity. These are the clear human rights violations by the authorities.
However I and Okinawan people will never bow to oppression.
I demand the Government of Japan to stop human rights violations, and respect the Okinawan people’s will against the construction of new U.S. and Japanese military bases.
Thank you Mr. President
反基地抗議、政府が弾圧 沖縄平和運動センター・山城議長が国連で声明 | 沖縄タイムス+プラス プレミアム | 沖縄タイムス+プラス
反基地抗議、政府が弾圧 沖縄平和運動センター・山城議長が国連で声明
2017年6月16日 07:47
【ジュネーブ15日=阿部岳】米軍基地反対運動のさなかに逮捕、起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)は15日午後、スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会で声明を発表した。「(那覇地検の取り調べで)自供と抗議運動からの離脱を迫られた。明らかな人権侵害だ」と述べた。
政府の基地建設強行は、当事者が国連で人権侵害を訴える事態に発展した。
山城議長は声明で、微罪に問われ5カ月勾留されたと報告。ほぼ全期間を通じて家族にさえ面会できなかったことに触れた。
また、名護市辺野古や東村高江で続いてきた基地建設反対運動を紹介。「市民は沖縄の軍事化に反対して毎日抗議活動を行っている。日本政府はその市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣した」と批判した。
「しかし私も沖縄県民も、このような弾圧に屈しません」と決意を表明。その上で、「日本政府が人権侵害を停止し、軍事基地建設に反対する沖縄の人々の民意を尊重することを求める」と要求した。
山城議長は沖縄防衛局職員に対する傷害や公務執行妨害の罪で公判中。那覇地裁から渡航の許可を得た。
人権理事会での発言は国際非政府組織(NGO)「反差別国際運動(IMADR)」の枠を譲り受けた。沖縄国際人権法研究会がカンパを募り、山城議長らを派遣した。16日には国連欧州本部内でシンポジウムも開く。
議長声明と「共謀罪」符号
【ジュネーブ15日=阿部岳】沖縄平和運動センターの山城博治議長が国連人権理事会で政府による人権侵害を訴えた同じ15日、「共謀罪」法が異常な形で成立した。日本は先進民主国家グループから脱落しつつある。そのことが、ジュネーブと東京から期せずして同時に発信された。
当局による山城議長の逮捕と長期勾留は、基地建設反対運動のリーダーを現場から引きはがす狙いが明らかだった。日本国内で無理やり刑事被告人の席に座らせた山城議長が、人権理事会で逆に政府の罪を告発したのは政府にとって「悪夢」というべき事態だろう。
山城議長は国連では「人権の擁護者」と位置付けられる。自分だけでなく周囲の人権を守っているため、特に保護すべき存在に当たる。特別報告者3人と1機関が2月、勾留に懸念を示す共同緊急アピールを政府に送ったのはそのためだ。
政府はこれに国内法を持ち出して適正だと反論したが、国際人権基準に合致していなければ説得力はない。世界を見渡せば独裁国家が同じように国内法で良心の囚人を罪に問うている。
共謀罪についても、国連の特別報告者が当局による監視強化に懸念を表明していた。しかし、政府は一切耳を貸さなかった。
安倍政権が今後、姿勢を軟化させる見通しは全くない。やると決めたことは、どこまでもやり通そうとするだろう。それに伴って、日本の民主主義に対する国際的な評価、信頼が低下していくことになりそうだ。
国連人権理事会での声明発表を前にスイスメディアのインタビューに応じる山城博治議長=15日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部