辺野古新基地建設、地元は「容認」なんかしていない ! - 覆された容認条件 - 個別補償もされないまま、重すぎる犠牲だけを強いられる地元の住民 - 政府関係者から聞いた話として「一世帯あたり1億円の補償金が出る」という話が流されていた
高さ制限基準の下に沈む地元、沖縄タイムスの特集で学ぶ辺野古の争点
辺野古の新基地建設。「地元」が容認しているとデマを拡散している者たちがいる。
しかし、
➊ 辺野古区 ➡ 条件付き容認
➋ 豊原区 ➡ 条件付き容認
として、地元は区民への個別補償を求めてきた。また
➌ 久志区は反対している。
そして、
とことん
地元を馬鹿にしているとしか思えない。
工事も進む今年8月にもなって、防衛局は辺野古区民に辺野古区の住民が容認条件としていた「個別補償」について、「できない」と連絡してきたという。
つまり地元の容認条件は完全に覆されたのだ。
【辺野古問題取材班】沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、建設予定地に隣接する辺野古区民への個別補償について、沖縄防衛局が「実施できない」と辺野古区側に伝えていたことが10日までに分かった。複数の関係者が明らかにした。防衛局は個別補償の代替施策を検討している。沖縄防衛局は取材に対し、詳細について答えを控えるとした上で「一般論として、辺野古区をはじめとする久辺三区の住民への補償について、実質的に区民に還元するような代替的方策を検討している」とした。
辺野古区は新基地建設を条件付きで容認するにあたり、区民への個別補償を求めてきた。2014年9月には豊原区、久志区と共に政府に個別補償などを求める要望書も提出している。新基地について豊原区は条件付きで容認しており、久志区は反対している。辺野古区行政委員の一人は個別補償がないことを認め「個別補償ができる法律的根拠がない。現実的に考えたら難しいことだ」と話した。
個別補償がないことなどについて辺野古区長・行政委員から区民への説明はまだない。区民の中には、補償されることを期待して新基地建設反対から容認に転じた人も多い。防衛局の代替施策の内容によっては区民から反発が出ることも予想される。辺野古区の50代男性は「個別補償がなかったらみんな新基地に反対する。それなりの振興策を求めないといけない」と話した。
当たりまえだ !
個別補償もされないまま、重すぎる犠牲だけを強いられるなんて、とことん愚弄しているとしか思えない。
個別補償の条件が満たされないのに、容認など出来うるわけもない。
さて、次の記事は、沖縄県知事選挙当日の東京新聞の朝刊である。
沖縄知事選 最大の争点 辺野古移設容認派に異変
東京新聞2018年9月30日26面
きょう投開票される沖縄県知事選の最大の争点、名護市辺野古の新基地建設をめぐり、「基地容認」の立場を取ってきた地元に激震が走っている。新基地を受け入れる代わりに世帯別の補償などを求めた住民側の要請を国側が拒んだためだ。普天間飛行場の移設先に浮上してから20年あまり。県民一丸となって反対世論が盛り上がった翁長雄志県知事時代も経て、辺野古の集落に起きた異変とは。選挙終盤戦の現地を歩いた。(石井紀代美)
「パンパンパンパンッー」。隣接する米軍キャンプ・シュワブの山林から演習の銃声が聞こえてくる。沖縄本島北部の辺野古。「シーサー」を屋根や門に据え付けた民語句の民家が立ち並ぶ海辺の町は、沖縄県知事選が後半に入った25日も閑散としていた。だが、住民の心は穏やかではない。
「すぐそこに滑走路は二本できるさ。(垂直離着ヘリの)オスポレイも頭の上をバンバン飛ぶ。軍艦が接岸できる港もできる。海兵隊員も増える。雰囲気はがらりと変わるさ」地元でリサイクル業を営む徳田仁さん(67)が心配そうに話す。自宅の屋上かた眼前に広がるのは青い海。視線の先に、新基地のために造成された長い護岸がみえた。
人口1500人ほどの小さな集落、辺野古。生まれ育ったこの地で、徳田さんはこれまで、新基地の建設を容認してきた。だが、オスプレイの墜落や事故が相次ぐ。このごろは心の奥で「やっぱり基地は来ない方がいい」と思うようになった。基地を容認してきた住民の心に変化をもたらす引き金になっているのは、今夏に起きた「事件」だ。
1996年に普天間飛行場の移設先に浮上してから、辺野古では住民代表でつくる「行政委員会」で議論を重ねてきた。国が住民に迷惑料としての補償金を世帯別に支払うなどの「条件付き」で、新基地には積極的に賛成はしないものの容認するという立場を取ってきた。
しかし、沖縄防衛局は8月はじめの行政委員会で、世帯別の現金支給などはできないと言い切った。記者が入手した、2014年に行政委員会側が沖縄防衛局などに要請した内部資料「普天間飛行場代替施設に係る辺野古区の条件」では、条件は13項目ある。
➊「辺野古区民に対して基地がある限り一世帯あたり永続的な補償」
などだ
複数の行政委員らの証言によると、埋め立て工事が進められているのに、個別補償の確約は得られていないと詰め寄る委員に対し、防衛局は「(補償金を)出す法的な根拠がない。実施できない」と即答した。これまで防衛局は「難しい」としながらも、「地元の要望に応えられるよう努める」と含みを持たせる回答をしてきただけに、出席した委員はあ然とした。
10年まで自民系の名護市議を4期16年務め、議長も歴任した行政委員長の島袋権勇さん(70)は「国防は日本の政府が決めることだが、普天間飛行場という危険な施設を辺野古に持って来るならば、住民が容認するための前提条件を付けないといけない。補償の交渉はまだ続いている」と語る。
「こちら特報部」の取材に対し、防衛局は「相手があることなのでやりとりの詳細は答えられない。法令の範囲内で実質的に区民に還元するような代替的方策を一つ一つ実施していく」と答えるのみだ。
工事を始めた後になって、お金は払えません、などと即答する。前から払うつもりはなかった詐欺のようなものだ。
地元を馬鹿にするのもいい加減にしろ !
しっかりと、ご覧ください。
どのように、どのような嘘で住民を欺き、嘘の上に嘘を上塗りして大浦湾を埋め立てて米軍基地を作ろうとしているのかを。
27面:
崩れた前提 漏れ出す本音 「静かに暮らしたい」「来ない方がいい」
辺野古は敗戦後の米軍政下から今日まで、基地問題から逃れられなかった。キャンプ・シュワブの建設が始まった1950年代。当時は伊江島などで「銃剣とブルドーザー」による米軍の土地接収が横行していた。「反対ばかりしていれば、奪われるだけで何も得られない」と当時の民政府に脅され、住民は権力に屈服させられる形で基地を受け入れたという。
時代が変わったはずの今日はさらに巧妙だ。沖縄戦を経験した世代が多かった99年には、行政委員会が普天間飛行場の移設先とされることに反対決議をしているが、その後の民意を割るようなうわさが流された。「一世帯あたり1億円の補償金が出る」という内容で、沖縄県財界が当時の政府関係者から聞いた話しだとされた。
当時を知る地元商工会の前会長。飯田昭弘さん(70)は「新基地ができれば、騒音はうるさくて住めなくなるので、集落ごと住民移転させるという文脈で出た話だった」と振り返る。地元では「首相に近い人が交渉するそうだ」「あの政治家が言っているから間違いない」などと、話しが膨らんでいき、辺野古は2007年に行政委員会が反対決議を撤回。
10年には「条件付き容認」に転じて今日に至っている。小さな集落ではお互いが顔見知りで余計な軋轢は避けたいという心理も働く。だから政治的な案件は行政委員がまとめ、多くの住民がそれに従ってきた。
「心の中では新基地に反対でも、『条件付き容認』という集落の決議が生きている以上は、それを口にすることは難したかったさ」と出前の徳田さんは言う。けれども、「補償金」とう基地容認の前提が崩れた今、住民の本心がじわじわとしみ出しはじめた。
「今さら大きな声で『基地反対』とは言えないけれどね、僕はもう、個別補償なんてもらわなくていいさ。贅沢しようと思わない。老後は静かに暮らしたいって、それだけさ」と胸の内を明かす。キャンプ・シュワブに近いアップルタウン商店街入り口の「ファミリーストア キヨタ」。米兵がよくタコライスなどを食べに来る店内で、店主の許田正儀さん(69)が赤ちゃんを抱いていた。
新基地が建設されればこれから100年、200年と基地の町でありつづけることになる。許田さんは8人の孫たちだけでなく、先の将来まで考えるようになった。辺野古の行政内規には、将来に関わる大事なことは地域住民全員で決める、とある。「孫の、そのまた孫の代まで影響を及ぼす基地問題は18人の行政委員会で決めるのではなく、もっと民主的に、住民投票を行うべきではないか」と許田さんは思い始めている。
反対票が上回ったとしても、基地建設は止まらないかもしれない。「それでも僕らは変わる必要がある。こんなことを言えば、村八分になるかもしれないさ。でも、言いたいことを言っていく。子や孫、その先々の代の子や孫から『あの時、何やってたさ』と思われたくない。それだと死んでも成仏できないさ」
8月末、県は辺野古の海の埋め立て承認を撤回し、現在基地建設の工事は止まっている。だが、県知事選の結果によっては、再び大きく動き出すだろう。ふるさとはどうなるのか。辺野古の将来は決定づえる最終決戦。住民たちは祈るように一票を投じる。
一億の話を醸しておきながら、住民の条件付き容認を導き出した。そして、条件付きにもかかわらず、「辺野古は容認」という印象操作を拡散し、反対派をけん制し、移設推進派を増やす。そして工事を始めると、個人補償は一円も出すことができない、ということだ。
地元を馬鹿にするにもほどがある !
しかも、この国が語る「地元」とは
この国は、「地元」をわずか久辺三区 (辺野古、豊原区、久志区) のみに限定し、意図的に「地元」の分断を図る。
辺野古補助金 新基地「前提」/3区「政府にだまされた」/狙いは分断 怒りさらに
頭上を飛び交う米軍機と、大浦湾内を航行するあらゆる戦艦の影響を著しくうけるはずの、汀間や安部や宜野座地区は、なぜ「地元」ではないのか。
【名護】米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設で予定地に隣接する名護市辺野古区への個別補償問題を巡り、辺野古区民が揺れている。国からの個別補償が無くなったことを受け「条件付き容認」を掲げてきた区民からは「補償が無いなら基地は来てほしくない。今からでも反対決議をすべきだ」「国には責任がある。このまま(基地を)造られてはたまらない。政府と対峙(たいじ)するつもりで個別補償をしっかりと求めるべきだ」といった声が挙がっている。
26日、辺野古公民館で開かれた行政委員会では、臨時の区民総会を開き、区民全員に個別補償について説明するよう求める声が上がった。区はこれまで、個別補償を「実施できない」とする沖縄防衛局からの通達について、区民に説明する場を設けていない。
出席した行政委員によると、臨時の区民総会について「時期尚早」との意見があり、政府との懇談会開催後に、10月以降に改めて行政委員会を開いて臨時の区民総会を開催するかどうかを決めるとした。
行政委員の一人は「補償問題は防衛局との交渉でなくて、政府の上の方と話をしないといけない。区民総会に防衛大臣を呼ぶ位の気持ちでやらないといけない」と強調した。別の行政委員は「(個別補償を)一生懸命交渉しているが歯が立たない。大きな国とちっぽけな区が、どれだけやっても勝てることはない」と無力感を示した。
区民総会の開催を区長に要請した西川征夫さん(74)は開催の有無の決定が先送りになったことについて「言語道断で理解不能だ」と憤った。その上で「容認条件の一つが頓挫した。今後どうするか改めて区民の意見を聞くべきだ」と強調する。委員会を傍聴した60代の男性は「18人の委員だけでなく区民一人一人の意見を聞くべきだ。白黒はっきりしてほしい」と訴えた。傍聴した金城武政さん(61)も「政府とどんな交渉をしているのか。これまでも報告を求めたり議事録公開を要請したりしてきたが、何一つ応えない。不透明なまま『容認』を押し付けられている」と指摘した。
これに対して辺野古の嘉陽宗克区長は「政府との懇談を調整中だ。懇談の結果を踏まえて改めて検討したい」と述べるにとどめた。