Osprey Fuan Club

~ 沖縄の歴史から現代の政治まで ~

沖縄に嘘をつき続け、嘘をつき続けながら基地を建設するという、日本政府のやり方

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2019年3月26日、陸自宮古警備隊」発足式

  

3月26日に発足したのは陸上自衛隊の新たな部隊「宮古警備隊」380人です。

防衛省は中国の海洋進出に伴い、奄美から与那国にかけての南西諸島を「防衛の空白地帯」とし、防衛力の強化を掲げ、陸上自衛隊の配備を進めています。

岩屋防衛大臣は会見で「ここにおける防衛力・抑止力をしっかり構築していきたいというふうに思っております」と話しました。

26日は部隊の配置が終わったことを示す「編成完結式」が行われ、警備隊の田中広明隊長が、那覇に本部を置く第15旅団の原田智総旅団長に部隊配置を報告しました。

先島地域での部隊配備は2016年3月に「沿岸監視隊」が置かれた与那国島に続いて2カ所目となります。

防衛省は来年度以降、宮古島市にさらにミサイル部隊を配備する方針で、全体で700人~800人規模の部隊が配備される見込みです。

 

2019年3月29日、保管庫が実は弾薬庫だとみとめた防衛省

防衛省、設計図と異なる説明 宮古島に弾薬庫

2019年4月1日 朝刊

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弾薬庫そのものは盛り土で覆われて見えず、上には監視用のテントがある。右端の白い建物は保管庫=清水早子さん提供

 三月に開設したばかりの沖縄県宮古島陸上自衛隊駐屯地。島民に事前説明のなかった弾薬庫が設置されていたことが発覚した。中距離多目的誘導弾などの弾薬が配備されるのにもかかわらず、防衛省は「保管庫」と繰り返し、島民に示した「施設整備概要図」では、弾薬庫を実際よりも小さく描いていた。 (望月衣塑子)

 

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 「保管庫にしてはあまりにも大きい。弾薬庫なのではないか」。島民有志が沖縄防衛局に開催を要求した那覇市でのヒアリングを翌日に控えた昨年十二月二日、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子(はやこ)事務局長(70)は、資料を分析しながらハッと気付いた。

 

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富士総合火力演習で発射される中距離多目的誘導弾=静岡県御殿場市陸上自衛隊東富士演習場

 防衛局が住民説明会で配布した「施設整備概要図」には、「保管庫」と記された建物が二つあった。いずれも、隣接する「事務所」とほぼ同じサイズだった。

 

 ところが、清水さんらが昨秋に独自ルートで入手した工事業者の設計図では、二つの「保管庫」の面積が異なっていた。一つは四メートル四方だったが、もう一つは五十四メートル×五十三メートルと約百八十倍もあった。

 

 「施設整備概要図」の完成イメージ図を改めて見ると、「保管庫」の場所には四角すい状のものが確認された。韓国や沖縄本島の米軍基地で見た弾薬庫とそっくりだった。実際、工事が進むと、弾薬庫を覆ったとみられる盛り土が現れ、入り口らしき場所の外には、爆発した際に被害を食い止める土堤も築かれた。

 

 清水さんらは那覇市でのヒアリングでも、その二日後の東京・参院議員会館での防衛省職員からのヒアリングでも「弾薬庫でないのか」と追及したが、防衛省側は「自動小銃などの小火器を入れる保管庫で弾薬庫とは違う」と言い張った。

 

 しかし、駐屯地の発足式から三日後の3月29日防衛省は取材に「小さい方は発炎筒や導火線などを入れる保管庫だが、もう一つは誘導弾などの弾薬を詰め、周りをコンクリートで覆い、盛り土をする弾薬庫だ」と明確に認めた

 

 清水さんは「事実を隠し、虚偽説明を続けたのは許せない。弾薬庫のすぐ横には給油所があり、百メートルほど離れた場所には民家がある。非常に危険だ」と憤る。

 

 地元の市民グループ「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」共同代表の石嶺香織さん(38)は「防衛省は、住民に事実を明らかにして説明する義務がある。『住民を守る』と言いながら、実際は安心できない生活環境を押し付けている。沖縄戦の記憶から、弾薬庫が真っ先に攻撃されるのは明らか。再び島が標的にされる」と訴える。

 

 駐屯地周辺の野原(のばる)自治会が配備反対から事実上の容認に転じた際の会長だった平良信男さん(57)は「防衛局は発射装置だけで弾薬は一切置かないと説明し、自治会も容認に転じたが、話が全然違う。防衛局は島民にうそをつき続けた」と悔しがる。

 

 同自治会の仲里千江美さん(68)は「政府は何度も『沖縄の基地負担軽減』を繰り返すが、宮古島では、島民の基地負担はますます重くなっている。政府がやってるのはいじめそのものだ」と非難した。

 

陸自駐屯地 「保管庫」実は弾薬庫 宮古島民「だまし討ちだ」

2019年4月1日 07時01分

 南西諸島防衛強化の一環で宮古島沖縄県宮古島市)に新設された陸上自衛隊陸自)駐屯地に弾薬庫が設けられ、同駐屯地の警備部隊が使用する中距離多目的誘導弾と迫撃砲が配備されることが分かった。防衛省は「弾薬庫ではなく、小銃などの保管庫」と地元に説明していたが、本紙の取材に「説明が不十分だった」と認めた。島民からは「完全なだまし討ちだ」と批判が噴き出している。 (望月衣塑子)

 

 宮古島駐屯地は三月二十六日に開設した。敷地面積は約二十二ヘクタールで、警備部隊三百八十人が配置された。

 

 同省整備計画局は取材に対し、弾薬庫の設置を認めた上で「中距離多目的誘導弾や迫撃砲は具体的に名前を出して説明しておらず、不十分だった。住民から要望があれば説明し、理解を促していきたい」とした。

 

 同省によると、弾薬庫の面積は約二千五百平方メートル。配備される中距離多目的誘導弾は、同省技術研究本部(現防衛装備庁)と川崎重工業が開発した対舟艇・対戦車ミサイルで、全長一・四メートル、胴体直径〇・一四メートル、重さ二十六キロ。高機動車の荷台に六発の誘導弾を収めた発射器とレーダーなどの誘導システムが搭載され、同時多目的交戦や夜間交戦能力を持つ。

 

 宮古島駐屯地を巡っては2015年5月左藤章防衛副大臣(当時)が下地敏彦市長を訪問し、陸自の警備部隊とミサイル部隊の配備を打診。候補地のゴルフ場「千代田カントリークラブ」周辺の野原(のばる)自治会(五十六世帯)は一六年三月、千代田自治会(二十九世帯)は同八月に配備反対を決議した。

 

 同九月に若宮健嗣防衛副大臣(当時)が「ヘリパッドや地対艦・地対空誘導弾を保管する火薬庫を整備する計画はない」と伝えると、下地市長は「弾薬庫が一切ないと説明を受けて一安心している」と応じた。沖縄防衛局はその後、地元自治会への三回の説明会で「弾薬庫とヘリパッドは造らない。小銃などの小火器を入れる保管庫を置くだけだ」などと繰り返した。

 

 17年11月の駐屯地着工後、18年2月には、千代田自治会が自衛隊員の自治会への加入や公民館の建て替えなどを求める陳情書を防衛局と市に提出し、事実上の容認に転じた。野原自治会も同三月に反対決議を撤回した。

 

 地元の市民グループ「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の仲里成繁(せいはん)さん(65)は「『小火器』『小銃』『保管庫』と聞こえのいい言葉を並べて島民に基地建設を容認させた。しかし実態は、迫撃砲や中距離多目的誘導弾を入れる弾薬庫そのものだった。政府はミサイル基地を造るためにうそをつき、住民をだました」と話している。

 

<南西諸島防衛の強化> 沖縄・尖閣諸島周辺の東シナ海などへの海洋進出を活発化させる中国などを念頭に、2013年12月の防衛計画大綱と中期防衛力整備計画(中期防)で打ち出された。陸上自衛隊は16年3月、日本最西端の与那国島沖縄県)に160人規模の沿岸監視隊を新設。宮古、石垣両島(同)、奄美大島(鹿児島県)に計約2000人規模の警備部隊とミサイル部隊の配置を計画している。

東京新聞

 

4月2日、防衛相の謝罪で弾薬搬出、しかし・・・

 

宮古島外に弾薬搬出へ 防衛相、陸自駐屯地問題を謝罪:政治(TOKYO Web)


宮古島外に弾薬搬出へ 防衛相、陸自駐屯地問題を謝罪

2019年4月2日 夕刊

 岩屋毅防衛相は二日午前の衆院安全保障委員会で、防衛省宮古島沖縄県宮古島市)に新設した陸上自衛隊駐屯地の弾薬庫に中距離多目的誘導弾などを配備する計画を、地元住民に説明しないまま進めていた問題を受け「多目的誘導弾などの保管について明示的に説明していなかったことは事実。大変申し訳なく思っている」と謝罪した。駐屯地内にある弾薬類をいったん島外に搬出することも明らかにした。

 岩屋氏は「地元に懸念が生じないよう、宮古島駐屯地の保管庫には小銃弾や発煙筒のみを保管する」と説明。島内に既に持ち込んだ多目的誘導弾や迫撃砲弾は、駐屯地とは別の保良(ぼら)鉱山地区に整備する弾薬庫に保管するよう指示したことを明らかにした。その上で宮古島駐屯地内にある弾薬類について「島外に搬出する」とした。宮崎政久氏(自民)に答弁した。

 宮古島駐屯地の弾薬庫については、防衛省が「弾薬庫ではなく小銃などの保管庫」と事前に住民に説明していた。実際には多目的誘導弾などの配備を進めていたことが、本紙の取材で明らかになった。 (上野実輝彦)

 

陸自のミサイル部隊と保良の弾薬庫建設

 

 「弾薬」を巡っては、防衛局が宮古島市との約束を守らなかったため、3月末の陸上自衛隊駐屯地開設の初日から事態は紛糾した。地元には「弾薬庫ではなく、小銃などの保管庫」と説明しながら、迫撃砲弾や中距離多目的誘導弾などを千代田地区の駐屯地内に保管していたことを私が基地内で取材中に聞き出して、ここにも書いた。結局は、当時の岩屋毅防衛相が国会で謝罪し、一度持ち込まれたミサイルなどはいったん島外に撤去されていた。しかしそれがないとミサイル部隊が来ても機能しないわけで、防衛局は宮古島の南東の端にある城辺(ぐすくべ)保良に弾薬庫を完成させて、あらためて運び込むと宣言していた。

 その保良の弾薬庫予定地というのは、住宅地からわずか200メートルと接近した場所にある。陸上自衛隊の教範には「誘導弾が火災に包まれた場合には1キロ以上の距離に避難」とあるが、住民はその最低の距離も確保できていない場所に住んでいる。そこに造るというのはいったいどういうことか。また、火薬類取締法の保安基準から算定すると、200メートル先に民家があるなら2トンの弾薬しか保管できないはずだが、推計では地対艦ミサイルおよそ7トン、地対空ミサイルおよそ4.5トン、中距離多目的ミサイルと迫撃砲およそ13トンが弾薬庫に入る予定だということで、保安距離はおよそ380メートルとされる。そのような専門家の推定が報道されるようになると、防衛局は弾薬量を答えなくなってしまった。安全距離ラインの内側に、つまり危険エリアに、生きている人間が生活をしている。それを無視する「国土防衛」とは一体何なんだろうか。

第94回:「弾薬庫」に抵抗する保良の人々~宮古島の自衛隊弾薬庫着工~(三上智恵) | マガジン9