沖縄にとっての「国難」とは
在日米海兵隊(第三海兵遠征軍)の第1海兵航空団重ヘリ部隊に所属するCH-53Eが10月11日、飛行中に出火し、結果、東村高江の牧草地に「緊急着陸」と称する事故を起こした。
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安倍晋三内閣総理大臣が『国難突破解散』と言って衆議院を解散し、総選挙が行われることになったが、在日米海兵隊の重ヘリが炎上したのは、総選挙公示日の翌日だった。
事故現場を視察した翁長知事は、
『豆腐にくぎ。県にとっての国難とはこういった状況だ』
と、述べた。
【沖縄タイムス】「沖縄にとってこれが国難だ」 翁長知事、米軍ヘリ炎上現場を視察
2017年10月12日 16:48沖縄県東村高江の民間地で米軍普天間基地所属のCH53E大型輸送ヘリが炎上した事故から一夜明けた12日、現場を視察した翁長雄志知事は「本当に厳しい状況。今日までの事件事故を思い出しながら、この厳しい環境をどのように国に訴えていくか考えた」と語った。
米軍ヘリ事故現場を視察する翁長雄志知事(中央)=12日午後0時25分、東村高江視察を終え「悲しい」「悔しい」「怒り」という言葉を口にした翁長知事は「日常の生活が一転して、こういう恐ろしい状況になるということに大変な違和感があった」と感想。
事故が起きる度に何度も要請行動や抗議行動を起こしてきたが、頻発する米軍機の事故の状況に「豆腐にくぎ。県にとっての国難とはこういった状況だ」と批判した。
沖縄タイムスの見出しを目にしたネトウヨは、翁長知事の発言が何を意味するのかを考えることなく、翁長批判を展開している。
彼らは単細胞なので、翁長知事が「今回の事故」を「国難だ」と言ったのだと勘違いしている。
彼らに限らず、沖縄県が抱える問題に関心がない人びとも、翁長知事の発言を誤解していることだろう。
沖縄にとっての「国難」とは何か。
沖縄県は、今回と同様の事故、または、今回よりも酷い米軍機による事故を、何度も何度も経験している。
その度に、沖縄県民が聞く言葉がある。例えば、以下のようなものだ。
『米軍に遺憾の意を伝えた』
『米軍に原因究明や再発防止を求めた』
『米軍に安全管理の徹底、詳細な情報提供などを強く申し入れた』
それらの「言葉」を発しているのは、日本政府である。
言葉のニュアンスは、まるで仲介役であるかのよう。「当事者意識」は全く感じられない。
日本政府にとって、沖縄県が抱える問題は「他人事」ということだ。
翁長知事は、このような姿勢の政府を持つことが沖縄県、延いては他の都道府県にとっても「国難だ」と言っているのだ。
現在、日本全国は衆議院議員総選挙で忙しい。
「国難突破解散」した割には、数々の「難」に直面する人びとのことを考え、解決策を打ち出してくれている候補者や政党がいるようには思えない。
沖縄が抱える問題とは、日本の安全保障の「裏の部分」であり「負の部分」だが、
日本政府や国会議員が関心を示すのは、安全保障関連法とか、日米同盟の深化とか、国としての「表の部分」であり、万人受けしやすい「正の部分」ばかりだ。
日本国民が日米同盟だけを重要視し、軍事力を強化しようとすればするほど、しわ寄せを受けるのは、米軍基地を多く抱えた沖縄県である。
それなのに、安全保障の負の部分が出た途端、「当事者意識」を持たなくなる日本国。
そんな国に属してしまったばかりに、属することを自ら選択してしまったばかりに、沖縄県民は、これからも「国難」に直面し続ける。
「この国を守り抜く」という「国」の中に、沖縄県は含まれているのか?