Osprey Fuan Club

~ 沖縄の歴史から現代の政治まで ~

沖縄を踏み台にして米軍再編交付金をおねだり - 岩国市の長く物悲しい悲劇のはて

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先日、普天間基地辺野古「移設」について「見通しは立った」と明言した、この人物。

 

いったい誰だよ (怒) !

 

ご紹介する。

 

これが、沖縄から遠く離れた山口県岩国市から勝手に見通し宣言した福田良彦市長だ。

 

岩国市・福田良彦市長の夢をかたちにした辺野古移設の「見通し」発言。

 

 

< 1 > 岩国市長が勝手に沖縄辺野古移設の「見通し立った」発言

 

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沖縄県が県をあげて辺野古新基地建設に反対しているというのに、遠い遠い山口県の地から、直接何ら関係のない岩国市長がしゃしゃりでて、岩国の艦載機移駐受け入れの条件としてまったく関係ない辺野古移設を無理やり関連付け、岩国の辺野古移設「見通し立ちましたー」と宣言する。

そんな岩国市長が、あまりに滑稽すぎて絶句する。

 

しかし、実はここに、最終的に「基地移設容認の町」に仕立て上げられてしまった岩国の、長く物悲しい悲劇がある。

 

山口新聞/ニュース

山口新聞
2017年5月18日(木)
普天間移設に見通し」岩国市長が明言

 

米軍再編成に伴う岩国基地への空母艦載機移駐計画を巡り、岩国市の福田良彦市長は17日、艦載機移駐受け入れの条件としている沖縄・普天間基地辺野古への移設について、「見通しは立ったと判断している」と初めて明言した。

 

市や山口県など地元が国に求めている要望について岸信夫外務副大臣と宮沢博之防衛大臣政務官は、同日、米軍再編交付金の延長や増額を前向きに検討する意向を福田市長や村岡嗣政らに伝えた

 

岸、宮澤の両氏は岩国市役所と県庁を訪れ、国の方針を説明。宮澤氏は 2022年度までとされている米軍再編交付金について「使いやすい交付金となるよう努力する」と強調し、延長や増額を「航空機騒音による負担が継続することを考慮し、地元の具体的な要望を聞きながら前向きに検討することを確約する」と述べた。

 

艦載機移駐受け入れの条件として、沖縄の民意を県外から真っ向否定し、「辺野古移設の見通しが立った」と発言しなければならない。

そんな醜悪な悪役を買ってでることで、政府から米軍再編交付金を満額でもらうだけでは飽きたらず、増額までもご褒美としてちょうだいするのである。

 

 

< 2 > 岩国に牙をむいた国の恫喝政治。

井原市長「私の首と引き換えに予算を通してほしい」

 

岩国のためにここで言いたいのは、

もともと圧倒的に基地移設反対だった岩国市民は、完全に国策に潰されてしまったのだということだ。

 

井原勝介市長の二期目に浮上した米軍再編問題で、岩国の基地増設を懸念した井原市長は、岩国市民の意志を問うとして画期的な住民投票を発議。その結果は圧倒的な厚木移転反対派の勝利であった。

 

厚木移転問う岩国住民投票 (2006年3月12日)

反対 43,433票

賛成 5,369票

 

その絶大な民意をもって井原氏は改めて計画に反対する意思を表明する。また直後の市長選でも三度目の当選をはたした。住民の勝利におもえた。

 

しかし、その後に引きつづいておこったことは、国から岩国市への資金凍結という、あまりにも露骨な強硬姿勢。保守派の県議会との確執。小さくても、美しく平和だった岩国の町は、以降、その内側から紛糾していくことになる。

 

2007年12月26日、岩国市の歳入欠陥の危機に直面し、井原市長は「私の首と引き換えに予算を通してほしい」とし、市議会議長に辞職願を提出した。

 

恐ろしいではないか。ここまで市長を追い込む恫喝政治というものが。

 

政府は移設反対の民意を示したこの町に鞭をふり、醜い牙をむけて岩国をかみ砕いたのだ。

 

恐ろしい岩国つぶしの顛末

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    題名 「岩国に吹いた風」
    出版社 高文研

井原勝介氏談

 突然降りかかった空母艦載機部隊の移駐という難題、アメとムチという手法で一方的に進めようとする国、その国の片棒を担ぎ市長に圧力をかける県と市議会、そうした大きな力に対抗して、平穏な生活を守るために闘ってきた市民と私の記録である。

 国や県との交渉の過程なども含めてすべてを明らかにしました。内密のやり取りなどを暴露することは本意ではありませんが、政治がいかに欺瞞に満 ちているか、美しい言葉の裏にどんなにみにくい事実が隠されているか、選挙の自由さえ保障されていない民主主義とは名ばかりの現実、政治家は決して市民の 味方ではなく、いざとなれば利権や保身のために簡単に市民を切り捨てること、こうした政治や行政の実態を多くの皆さんに知って欲しい、そして、平穏な生活 を守るためには、自ら立ち上がり行動しなければならないことに気付いて欲しい、そうした思いから、敢えて筆を執りました。

 

地域から平和をきずく ― オキナワ・イワクニからみた日本

(2010/11) 池尾 靖志 (著),    井原 勝介 (著),    伊波 洋一   (著)

 

 

そして次年度の市長選で自民党から出馬して当選したのが、この福田氏だ。

 

 

< 3 > 岩国艦載機移駐に辺野古移設を条件づける福田市長の悪役ぶり

 

まず、なぜ岩国の艦載機の移駐に、なんら直接関係もない辺野古移設を条件づけなければならないのか、そして勝手に、「辺野古移設に見通しがたった」宣言をしなければならないのか。

 

お国からの米軍再編交付金満額支給に飽きたらず、延長や増額をとりつけるため、沖縄を踏み台にして辺野古新基地建設の旗振り役をするしか、岩国に選択肢は残されていなかったのか。

 

国策にかみ砕かれた岩国の、

その長く物悲しい悲劇のはてが、福田市長の「見通し」だった。

 

そして、岩国基地は拡大する。

 

まあ、でもそんなことは安倍総理のおひざ元の山口県全体にとっては、さほど関心のないことなのかもしれない。交付金は満額でもらうが、下関より圧倒的に広島市に近い岩国のことだ。結局、飛行訓練のルートは、お隣の広島県島根県の西側に設定されているのだから。

 

[米軍訓練][飛行経路][中国地方][ブラウンルート][岩国基地]

画像

 

 地図に、空中戦の訓練空域「エリア567」(三角形)とともに、ブラウンルート(推定)を載せてみると…

 米軍は、民家の存在も無視して「高度150m」としていますから、「航空法の最低安全高度は守らない」と宣言していることになります。 

 悲鳴があがるほどの低空飛行が繰り返される、三次市立作木小学校の谷 は、ブラウンルートの入り口付近にあたるとみられます。コース上のどの地点でも目撃は多く、ブラウンルートには数十㌔もの幅があるようです。
 米軍機は予告もせず、自由自在に飛び回っているので、「このうえオスプレイなんて」と、怒りが強まっています。