普天間基地返還合意のカラクリ
2017年4月13日
1956年に沖縄に配備されるまで、海兵隊は本土の各務原(岐阜県)と富士演習場(山梨県)などに配備されていたことをご存知だろうか。
1950年代、日本各地で米軍基地に反対する強力な住民運動が起こり、基地周辺で繰り返される米兵による事件・事故と不平等な地位協定への不満が高まった。
東西冷戦が激化する中、米軍基地があることでアメリカの戦争に巻き込まれるという懸念も広がり、国民の中で「非同盟中立」志向が急速に高まった。
その結果、国政選挙では社会党の議席が増大した。これに日米両政府は、このままでは日米安保体制そのものが危うくなると危惧し、まず行ったのが本土からの海兵隊の撤退であり、結果当時アメリカ統治下にあった沖縄への海兵隊集中配備となり、今の危険な海兵隊普天間基地に至っているのだ。
しかも、海兵隊普天間基地の配備をアメリカ側が疑問視し撤退のチャンスがあったにもかかわらず、米軍海兵隊を国内に置きたいがために、国外移設のチャンスを黙って握りつぶしたのは日本政府だ。
さて北朝鮮情勢が緊迫している現在、「米軍基地があることでアメリカの戦争に巻き込まれるという懸念」はますます高まっている。
沖縄県全体で見れば、「普天間の危険除去は辺野古への移設が条件」とする政府の押しつけは、沖縄県内での危険のたらい回しに過ぎず、全く危険除去にはならないのだ。
普天間の危険は減るのか?否。
辺野古に普天間基地以上の軍機能の高い新基地が出来てしまっては、狭い沖縄本島の危険はむしろ増してしまうのが目に見えるからだ。
本土で「米軍基地があることでアメリカの戦争に巻き込まれるという懸念」により海兵隊基地を撤退したように、
沖縄でも「米軍基地があることでアメリカの戦争に巻き込まれるという懸念」により、海兵隊基地を撤退するべきだ。
なぜ、本土でできて沖縄ではできないのか。
本土民の住民運動は受け止めて沖縄に押しつけ、沖縄の住民運動は「ワガママ」だと弾圧する。
根底に沖縄への差別が横たわっているからではないのか。
地政学的な、という理論は通用しない。朝鮮半島に近いのは本土の方なのだから。
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RBCニュース
2017/04/12 11:57 RBC
普天間返還合意から21年
日米両政府が普天間基地の全面返還に合意して12日で21年となりました。返還の条件となっている名護市辺野古への移設をめぐり、政府は今月中にも埋め立てに向けた本格的な工事に着手する構えで、移設問題は新たな段階を迎えています。
「普天間飛行場は、今後5年ないし7年以内に全面返還されることになります」(橋本龍太郎首相(当時))
1996年4月12日、日米両政府はアメリカ軍普天間基地を全面返還することで合意したと発表しました。
しかし、条件となった名護市辺野古への移設をめぐり、移設作業を進める政府と反対する県が激しく対立し、21年が経った今も返還は実現していません。
こうした中、去年12月には翁長知事による辺野古の埋め立て承認の取り消しをめぐる訴訟で県の敗訴が確定したことを受け、政府は今月中にも埋め立ての最初の段階となる護岸工事に着手する構えです。
これに対し、翁長知事は工事の差し止め訴訟を検討しているほか、辺野古の埋め立て承認を撤回する方針を決めていて、政府との対立が再び激しさを増しています。