Osprey Fuan Club

~ 沖縄の歴史から現代の政治まで ~

宮古島市と名護市の「地元住民」の想い ②

2016年12月29日

宮古島市名護市の「地元住民」の想い ② ■
- オープン・ディスカッション -

先日、「沖縄情報」というFBグループページのメンバーが宮古島への自衛隊配備に関し、『宮古島の政治家は、地元住民に対する十分な説明をせずに容認している』というような内容の投稿を紹介しました。当クラブは、宮古島の「地元住民」の想いは、彼が賛成する「普天間基地辺野古移転」と同じであることを指摘しました。(https://www.facebook.com/ospreyfuanclub/posts/629505573905154:0) ①

当クラブの指摘に対し「沖縄情報」で返信が投稿されていたので (https://www.facebook.com/groups/OkinawaInfo/permalink/1331634770240310/) ②、返答したいと思います。

一般的な「沖縄情報」メンバーは、当クラブのページにコメントを書き込んで荒らす人々ですが、あなたは違いますね。上の ② のリンクで投稿された内容を読むと、通常の「沖縄情報」メンバーのように「荒らす」のを目的とするものではない事がわかります。また、「基地反対派が騒いでいる!」と面白がって投稿したのではない事もわかります。あなたの文章からは、たとえ意見や思想が違っていても、相手に敬意を払って対応する人であることがわかります。まず、その真摯(または紳士)的な応対に感謝いたします。

あなたは『解釈にズレがあったので あそこで何かコメントを入れようかと思ったのですが、他の参加者の方もいるので 出来れば 僕の投稿した元記事で議論したいなと、望むところです。』と言いますが、メンバー承認が必要な「沖縄情報」ページに当クラブが出向いてコメントを書き込む事はできませんので、このようなオープン形式で議論を進めることができればと思います。そうすることで、双方の閲覧者が興味を持ち、お互いの相違点を理解することができると考えます。

『まず、僕が問題視したのは 宮古島自衛隊配備の件で 基地が置かれる側の住民の理解を得られていないままでの強行設置は不要な争いを生むだけではないのか?…そこを問題提議したわけです。そりゃ、住んでいる人がいるのであれば まず議会で採決した地方の政治家が住民を説得していく、理解を求めていくことは当たり前の話ですよ。そして基地を置く事によって 何か重大な不利益があるのであれば、他の候補地も含めた見直し案も必要になってきます。』と書かれていますが、それについて、こちらの意見を述べたいと思います。長文になりますが、お付き合い願います。

まず最初に、当クラブは宮古島への自衛隊配備は反対の立場にあります事を述べておきます。おそらく、当クラブのフォロワーのほとんども同じであるかと思います。政府や識者は南西諸島に「軍事的な空白があってはならない」というようなアバウトな説明をし、与那国島石垣島宮古島自衛隊を配備しようと考えているようですが、これには様々な疑問があります。しかし、この点に関しては別の機会に議論できればと思います。

あなたは、自衛隊の配備計画に容認する宮古島の政治家が「説明責任をはたしていない」ことに不満なのかと思います。しかし、どこの自治体から選出された首長や議員でも、こと防衛に関する問題で「地元住民」にちゃんと説明することはできませんし、致しません。彼らの勉強不足もあるかと思いますが、「防衛」という言葉を使えば、それだけで大義名分があると思い込んで、住民に十分な説明などしなくていいと考えているのかもしれません。

宮古島の政治家が容認するのは「先島の防衛のため」というタテマエはあるかと思います。ですが、ホンネは「カネ」ですよね。日本政府からのバラマキ、自衛官や家族らの消費による経済効果の期待であり、防衛ではありません。首長や議員の仕事は、いかに「いま住民に経済的な利益を与えて(もしくは期待を抱かせて)次の選挙でも自分に投票してもらえるか」であり、本気で「先島の防衛」のためと考えて誘致したのであれば、無償でも、経済効果がなくてもオッケーなはずです。

あなたは『そりゃ、住んでいる人がいるのであれば まず議会で採決した地方の政治家が住民を説得していく、理解を求めていくことは当たり前の話ですよ。そして基地を置く事によって 何か重大な不利益があるのであれば、他の候補地も含めた見直し案も必要になってきます。』と述べていますが、

「配備を決めた地区の住民が反対しているから」という理由で『別の候補地を含めた見直し』という例があるのでしょうか。少なくとも、沖縄本島では皆無です。そういった前例があるならば、ぜひ教えて頂きたい。そのような前例がないならば、ぜひ、宮古島市が最初の例になって頂きたい。

あなたは『それでは辺野古だけの賛否はどうなっているんですか?僕はそこを言っているんだから そこについて書かなきゃ。』と述べていますが、辺野古に関してもそうです。まず、誤解が生じないように最初で申しておきます。辺野古区長は行政の長ではありませんし、議員でもありません。その人が「地元は容認」と言ったとしても、現在は「反対」と言って当選した市長が名護市の代表ですし、「反対」と言って当選した議員が過半数を占めているのが名護市議会です。

これまで日本政府は普天間基地の移設先を名護市辺野古とし、当時の名護市長や議員、区長などに様々な圧力をかけ、アメとムチを駆使し計画を進めていきました。19年前に名護市民が「住民投票」で意思表示したのも、自分たちの選んだ政治家が自分たちの想いとは逆の方向を向き、政府の言いなりになっていたから。政府の言いなりになる政治家に説明を求めたところで、十分な説明などできません。「お金は入ってくるはずだから、勘弁してください」って言うのがやっとじゃないですかね。

結局、名護市民は「住民投票」で意思表示したにも関わらず、その数日後に当時の比嘉鉄也名護市長が官邸に呼ばれ、「受け入れ」を表明して「辞任」しました (http://ryukyushimpo.jp/news/prentry-90396.html)。その市長の「容認」をもって計画が進められていった経緯があります。その後の紆余曲折を述べると話がズレますので、これもまた別の機会に議論できたらと思いますが、ここで留意して頂きたいたいのは、沖縄本島でも政府が決めた候補地の住民代表として選ばれ、政府案を容認した首長や議員からの「十分な説明」など「ない」ということ。それは、今の宮古島の状況と同じです。

あなたは、米軍基地が「その受け入れ先の区内だけで運用される」ものであると誤解していませんか?

沖縄本島には米軍基地があちこちの自治体に点在していますが、米軍による基地の運用は「米軍基地所在地」だけで完結するものではありません。米軍は終戦後から沖縄本島全域を基地として運用していますし、それは今も同じです。例えば、海兵隊の兵站部隊は浦添市(キンザー)、航空部隊は宜野湾市(普天間基地)、歩兵部隊は金武町(ハンセン)、水陸両用部隊は名護市(シュワブ)…というように配置されていますが、それら全部を使わないと海兵隊の運用は成り立ちません。だから米軍車両が本島の高速道路、国道、県道を走行して基地から基地を行き来するし、ヘリやオスプレイを使って移動します。沖縄本島全域が海兵隊の基地であり、米空軍、米陸軍、米海軍の基地なのです。

したがって、普天間基地の移設問題で「地元住民」という言葉が意味するものは、「辺野古区民」だけではありません。米海兵隊の運用は沖縄本島全域ですから、どの自治体であっても、どの区に住んでいようとも影響を受けます。普天間基地移設問題の場合、「辺野古区民の意思」だけで「地元容認」にはなりません。

宮古島に配備される自衛隊は、その施設内だけで運用が完結するものなのでしょうか。もし、そうであるならば、「宮古島の防衛のため」とは考えにくいですね。逆に警備部隊という名で情報収集や監視活動のために配備されるのであれば、有事や災害時に必要となる物資、車両、航空機、重機など持たない部隊となるでしょうから、「何かあれば自衛隊に助けてもらえる」と思い込まないほうがいいし、その警備部隊が不法侵入を試みる人物や集団に対応できるのか疑問ですね。

そのような疑問点を解消してもらうために説明を求めていると考えますが、果たして、納得のいく説明が行われるかどうかですね。当クラブも注視していきます。

大変長くなりましたので、今回はここまでといたします。「沖縄情報」ページにて返答を投稿していただければ、当ページがあちらを偵察する際に見つけ出し、またここで、こういう形で返答したいと思います。

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