72年前のきょう 1945年4月9日 「嘉数の闘い」
2017年4月9日
もし、1日に800人が死傷するような戦闘が、いまの時代に起こったら、
世界各国のメディアが大々的に報じることだろう。
72年前の今日、いまは普天間基地となってしまった地域の南にある嘉数高地で、
日米双方で800人もの死傷者を出す「白兵戦」が展開した。
「白兵戦」とは、双方の兵が武器を片手に入り乱れて殺しあう戦闘のことだ。
現代の戦争で、これほどの戦死者を出すような戦闘は、ほぼないと思う。
コンピューターゲームのように、ボタンを押せば無人機が爆弾を落とす時代のいま、
1日の戦闘で800人の兵士の命が失われるなど、軍人でも想像できないことかもしれない。
銃剣を手に、短刀を手に、敵を斬りつける。
至近距離から銃を撃つ。
血が飛び、肉片が地面に落ちる。
映画やドラマのように、斬られた人間が綺麗に倒れて死ぬことなどない。
その辺でのたうちまわり、もがき、叫ぶ。
傷口からは、体内のありとあらゆるものが噴き出してくる。
戦闘が終わるまで、負傷した者を助けることなどできない。
自分の身を守ることで精一杯だ。
双方が入り乱れるような戦闘では、爆撃も砲撃もできない。
味方までも殺してしまいかねないからだ。
このような、「白兵戦」という原始的な戦闘は、沖縄戦で多々あった。
72年前のことである。