Osprey Fuan Club

~ 沖縄の歴史から現代の政治まで ~

北部訓練場の一部返還について

2016年7月27日

【やんばるの森を考える】

〜 北部訓練場の一部返還について 〜

日米両政府は、東村高江集落を囲むようにして米軍が使用するヘリパッド(実際は、オスプレイパッド)を建設し、北部訓練場の一部を返還することで「沖縄の負担軽減になる」とアピールする。

面積だけで考えると、確かに負担が減るように思える。しかし、本当にそうだろうか?

北部訓練場は、東村の面積の41.4%を占めるものの、すべて「国有地」である。(沖縄県/沖縄の米軍基地及び自衛隊基地、統計資料集、平成28年3月「市町村別米軍基地面積」および 「施設別米軍基地の概況」 http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/toukei.html より)

北部訓練場のほとんどが「国有地」であるならば、またいつの日か、日本国が米政府に「施設及び区域の使用(日米地位協定第二条)」を許可することも可能だし、尖閣諸島のように「名ばかりは沖縄県」で、実際は、国の管理下で民間人や県民の立ち入りを制限・禁止にすることも可能である。

例え北部訓練場の一部が返還されたとしても、東村においては、その全部が「国有地」であるため、自治体、または、一般住民が返還される土地の用途を決めることはできないし、これからも、立ち入りが制限されることになる。

日本国は、大宜味村国頭村、東村にまたがる「やんばるの森」を国立公園に指定し、世界遺産への登録を目論んでいるが、これに北部訓練場は含まれない。(琉球新報 2016年6月21日 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-301725.html)

産経新聞の報道によると、政府は「返還後は世界自然遺産の区域に組み込んで観光による経済振興を図る」(http://www.sankei.com/politics/news/160619/plt1606190049-n1.html) そうだが、「返還されない」土地は米軍の訓練場として継続使用されるわけだが、はたして、そのような軍事施設に隣接する区域が「世界遺産」として登録されるだろうか。

絵に描いた餅としか思えないし、一般人が立ち入りできない「国有地」が米国から返還されたところで、沖縄県の負担軽減になるとは思えない。

{北部訓練場とは}

『北部訓練場は、国頭村及び東村にまたがる本県最大の演習場であり、海兵隊の管理の下に、海兵隊の各部隊のほか陸軍、海軍、空軍の各部隊が対ゲリラ訓練基地として使用し、米軍唯一のジャングル訓練場となっています。また、同訓練場では現在、実弾射撃は実施されていません。

同訓練場一帯は、沖縄本島随一の森林地帯として、県土保全、水源かん養林の大きな機能を果たしており、また、国の特別天然記念物(特別鳥類)のノグチゲラや天然記念物のヤンバルクイナの生息地として豊富な自然環境を残しています。

平成8年12月の「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の最終報告において、現在コプター着陸帯を返還される区域から北部訓練場の残余の部分に移設すること等を条件に、同訓練場の過半(約3,987ヘクタール)の返還が示され、日米間で合意されています。』(沖縄県基地対策課: http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/1172.html)

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写真: (上) 「施設別米軍基地の概況」http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/documents/h28toukei02.pdf
写真: (下) 「北部訓練場」http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/1172.html)

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